必ずと言っていいほど、風景から呼び起されたテーマで制作が始まります。

その風景はさまざまで、幼いころの記憶に残る風景や、故郷、行ったことは無いけれど想像の内に作り出した風景、テレビや雑誌インターネットで見た風景などです。

ある風景をぼんやりと眺めながら、その風景は何なのか、風景は何を語るのか、そんなことを考えながら制作に向かうのです。

 近年の作品では「記憶」、「残す」をテーマに制作してきました。
私たちの記憶は曖昧なもので、頭の中で風景を少しずつ事実とは異なるものへと変化させています。

そして、現実にも風景は時間と共に姿を変えています。

どんなに愛おしい風景でも、完璧な記憶として残ることはないでしょう。
しかしそこに”在った”という事実は決して変わることはありません。
時には過去に心を沿わせ、またある時には変わりゆく今を残そうと、そしてある時には、理想の風景を求めて、記憶の庭を散歩するように制作をしています。